可もなく不可もなしブログ

雑多な雑文を乱雑に

非常停止ボタンを押せるか

関東甲信では観測史上最速の梅雨明けのようです。晴れて太陽が独擅場となり、死ぬほど暑い。

 

昨日のこと。

線路内にゲームソフト落とした男が、非常停止ボタンを押したのを見た。

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自分は日暮里駅で電車を待っていた。反対側の電車が到着し、開いた扉から1〜20代くらいの男性が走って階段に向かっていく途中、NintendoDSを落とした。本体はすぐ拾ったが、ゲームソフトが本体から抜け落ち、線路内に落としてしまっていた。

男性はそれに気づいて、自分でソフトを取ろうとした。初めは届きもしないソフトに手を伸ばしていたが、思い立ったのか非常停止ボタンの方へ駆け出し、ボタンを押した。

ホームに警告音が鳴り響き、電車の機能も停止した。

男性は電車が来ないと踏んだのだろう、線路内に入って行こうとするも、他の乗客に止められていた。すると程なくして駅員が駆けつけ、ゲームソフトは駅員が持ってきたマジックアームのようなもので拾われた。

男性は特にお礼も言わずにまた走って階段に向かっていった。

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僕は人生で初めて非常停止ボタンを押す人間を見た。そしてこんな下らない事で非常停止ボタンを押すのか、と憤りを含んだ思いに至る。

非常停止ボタンを押す事で引き起こされる事と、自分のゲームソフトを線路から拾い上げる事を天秤にかけ、後者を選んだ男性に対して侮蔑を送りたい。

 

その男性は1〜20代くらいの見た目だが、振る舞いが甚だ幼稚だ。

まずホームで走ること。結構なスピードで走っていたので普通に危険に感じた。

非常停止ボタンを押す判断も愚行だ。ゲームソフトが命よりも大事なものなら分からなくもない、と言いたいがそんなゲームソフトはこの世にない。命よりも大事なものはそもそも落とさない努力をすべきだ。

そして男性はソフトを拾い上げた駅員に会釈もすることなく去っていった。電車の運転は5分ほどで再開したのだが、その5分を乗客や鉄道会社から奪った事に何の償いも無い様子だったので、この男性は本当に矮小で無価値な人間だと思う。

 

ここまで書いて、もう一つ思う事がある。

非常停止ボタンは気軽に押すものではないが、本当に必要な場合でも押すことを躊躇うあまり押せない人も居るのではないか。命の危険がある場合には押して危険を知らせるべきだが、適切に危険を知らせないといけないタイミングで、天秤で物事を測り損ねることは多分ある。

話を広げると、日常で助けを求めたい場面で、適切に人の手を借りる事を躊躇わずにできるかの話。どうしても自分の天秤は、人に迷惑をかけない方に錘が最初から乗っている。非常停止ボタンを押した男性の行動を見て、その浅ましさと勇敢さ、両方を感じた出来事だった。

 

次来た電車に乗ると「電車が遅れて申し訳ございません」のアナウンスが車内に流れていた。

あの男性が謝罪すべきものを、何の罪もない車掌が謝罪している状況が少し滑稽だった。